ニコンF 発売されたのは1959年6月だそうです。生産終了時期はいろいろ探しましたが見つけられませんでした。F2が発売されたのが1971年9月とのことなので、それからしばらくして終了したのではないかと推測はできます。だとしても10数年にわたる長期間に渡りいろいろなバリエーションが生み出され、機能の改良も行われ、主にプロ機として使用されたカメラです。このカメラにまつわる書籍や記事も多く、とてもじゃあないがこのカメラについてどうのこうの言える訳がないのです。なので 取り扱い説明書 = ニコンFの使い方 をなぞってみまることにします。なお、いつもはシャッターと記述していますが、ここでは ニコンFの使い方 に倣って シャッタ としてあります。
写真に使用したニコンFのボディは製造番号がNo.650前後~670後期に含まれるモデルです。特徴としては、カメラボディのプレス角が面取りされている。フィルムの巻上げクランクが18.2mmになりクランクの先端が回転する。フイルム巻上げレバーとセルフタイマーレバーの形状がそれまでのモノとは異なる。 シンクロ接点の形状がD形。などの違いがあるのだそうで、さらには製造番号に赤点のあるタイプです。( ※ 参考書籍 クラシックカメラ専科No.52 ニコンF40年 ボディーの分類より )
各部の名称
性能 (記載した単語の表示は “ニコンFの使い方” より)
タイプ | 35mm一眼レフレックスカメラ |
画面サイズ | 24mm×36mm |
ファインダー視野 | 画面サイズの100% |
レンズマウント | ニコンFバヨネットマウント |
レンズ絞り | 瞬時復元式、手絞りボタン付 |
ミラー | 瞬時復元式、上方に固定可能 |
ファインダー | アイレベルファインダー付 [フォトミックTnファインダー、 フォトミックFTnファインダー、 ウエストレベルファインダー、 アクションファインダーと交換可能] |
ファインダースクリーン | スプリット式A型付 マット式マイクロプリズム式など14種交換可能 |
シャッタ | チタン(軽金属)製シャッタ幕 フォーカルプレーンシャッタ T,B,1~1/1000秒 |
セルフタイマー | 持続時間可変式 目盛 3, 6, 10秒 |
シャッタ巻上げ フィルム送り | 一作動式(小刻み可能) |
フィルムコマ数計 | 自動復元順算式 |
フラッシュシンクロ接点 | タイムラグ可変式 スピードライト(ストロボ)には1/60秒で同調 |
裏ブタ | 着脱式(モータードライブ交換可能) |
大きさ | レンズなしで 147mm×98mm×54mm |
重量 | レンズなしで 685g |
フィルムの入れ方
カメラ底面にある裏ぶた開閉キーを回して指標をopenに合わせ、裏ブタに親指をあて軽く押し出すようにスライドさせて取り外します。
パトローネをマガジン室に納め、フイルム先端を10cmほど引き出してスプールの隙間に差し込み隙間のふちの突起にフィルムの穴をかみあわせます。スプールを手前に回してスプールの下をくぐらせるようにフィルムを巻きます。
スプロケットの歯にフィルムの穴をかみ合わせながらスプールにたるみなく巻くことが出来たら裏ブタをかぶせ、開閉キーの指標をcloseに回して、フィルムの装填は終わりです。
シャッタボタンの周りのA-R切替リングをAにします。Rの位置ではフィルムは巻き上がりません。そしてコマ数表示盤が1になるまでレバーを巻上げでシャッタを切ります。
コマ数は裏ブタを開けると0以前に戻ります。コマ数表示盤が1を示すまでカラ写しをします。
巻上げレバーは止まるまで巻き上げます。巻上げが足らないとシャッタボタンが押せませんが不足分をさらに巻き上げれば押せるようになります。
フィルム長さ表示窓 36か20を表示させておくことが出来ます。写真の突起部分を左右に動かして表示を切り替えます。
フィルム感度ASA表示盤 カメラ底部にあるASA感度表示盤に装填したフィルムの感度と種類を表示することができます。黒い指標が黒白フィルム、赤い指標がカラーフィルム、EはEmptyでフィルムを取り出した時にセットしてきます。どちらも表示のみで機能に変化はありません。
自動プリセット絞り
” ニコンF用のニッコールオートレンズとオートズームレンズの絞りは自動プリセット式です。すなわち絞りは常に開放になっておりシャッタを切った瞬間だけ自動的にあらかじめ定めておいた(プリセット)値に絞られ、直ちに元のように開放になります。” ※ ニコンFの使い方 よりそのまま抜粋
シャッタ目盛盤
シャッター速度はこの目盛りを使って選択します。Bはバルブでシャッタボタンを押している間シャッタが開いています。Tはタイムでシャッタボタンを押すとシャッタが開いたままになります。閉じるにはこの目盛りをBまたは1000が指標を通過するまで回します。
手絞りボタン
絞った状態を確認したい場合はカメラ前面にある手絞りボタンを押している間だけレンズはプリセットした値に絞られます。この手絞りボタンを押している間にシャッタを切るとミラーが上がったままになる事があるようです。この場合はカラ撮りをすればもとに戻ると注意書きがあります。
反射鏡の固定(ミラーアップ)
ミラーアップの用途は魚眼レンズのマウント干渉を避ける目的とモータードライブの連射時の使用を想定されていたようです。
反射鏡固定ノブは通常黒点の位置にあります。このままレンズを外すとミラーが見られます。このノブを赤点の位置まで回しシャッタを切るとミラーが上方に固定されます。戻す時はノブを黒点に戻しますが、そのままではミラーは戻りません。シャッタを一度切る必要があります。
ファインダーの交換
ファインダーを交換するにはカメラ背面にあるファインダー着脱ボタンを押しながらファインダーを持ち上げて外します。ファインダー取り付け時ははめ込む位置をよく確認してボタンを押しながら行うとスムーズに行えます。着脱ボタンはツメを使えば押せますが、棒状のモノを使う場合は硬いものを使用するのは避けましょう。
ファインダースクリーンの交換
スクリーンを取り外すには、まずファインダーをカメラから取り外し、次にカメラを逆さにして、ファインダー着脱ボタンを押すとスクリーンが外れて下に落ちますので、スクリーンを柔らかい布などで受けます。
スクリーンを取り付けるには、ファインダー着脱ボタンを押しながら、ファインダースクリーンの “Nikon F” と記してある側面をレンズ側にし平らなスクリーン面を下側にしてカメラに落とし込みます。
フォトミックファインダー
フォトミックファインダーがあるので取り付けてみました。ただ手持ちのフォトミックファインダーは電池を入れても今のところ動かないのです。なので雰囲気を楽しむだけです・。・・残念
レンズ交換
レンズ着脱ボタンを押しながら時計方向にレンズを回転させて、絞り指標の黒点とボディの黒点が合う位置まで回してから取り外します。
セルフタイマー
セルフタイマーを使用するにはセルフタイマーレバーを矢印の方向に倒します。レバーには3つの目盛りがあり、使い方記載ではおよそそれぞれ3秒、6秒、9秒でセルフタイマーでシャッタが切れる時間の目安となっています。
フィルムの巻戻し
フィルムを撮り切ったらフィルムを巻き戻します。シャッタボタン周囲のA-R切替リングをRに回します。巻戻しクランクを起こして矢印の方向に回してフィルムを巻き取ります。フィルムの巻戻しが行われている間はシャッタボタンが回ります。シャッタボタンの上の赤点が回るのでわかります。全部巻き取るとフィルムがスプールから外れ巻取りが軽くなりシャッタボタンは回らなくなります。それから裏ブタを開けてフィルムを取り出します。
二重露光
このカメラで二重露光をするためにはコツがいるようです。巻上げレバーは必ずフィルムを巻き上げないとシャッタが押せないのです。なので一度 A-R切替リングをRに回してフィルムを1コマ分(シャッタボタン上の点が1回転と少し余分(180度以内)フィルムを巻戻して、再び A-R切替リングを Aに戻してから巻上げレバーを巻き上げて撮影します。・・・これはズレるでしょ
ということで一通り使い方を記しましたので、今回はここまでといたします。