レンズシャッター式ポケットインスタマチックカメラ
110フィルムは1972年にコダックがカメラ・フィルムとも発表したものだったようです。私が最初に購入したカメラがコダックのPOCKET INSTAMATIC 20 という110のカメラでした。
2009年に最後に残った富士フイルムが110フィルムの生産を終了しましたが、2012年にLomographyが再び販売を開始し現在も供給されています。現像は35mmフィルムとプロセスは同じです。しかし形状の違いから現像用のカートリッジに巻きなおすなどの作業を遮光下で行う必要があり、時として110カートリッジ内から容易にフィルムが取り出せない事もあるため現像作業を受ける店舗(ラボ)はごくわずかになってしまいました。データ化についてもラボや店舗が通常使用している機器に110フィルム用のキャリアを持つ所が少なく、現在では機器の変更などで出来なくなってしまったところもあります。話が110フィルムばかりになってしまいましたが、
そんなフィルムを使うカメラの中でこの110EDは比較的高級機でf/2.0の明るいレンズと絞り優先のEE露出制御や二重像合致式距離計を搭載しています。
各部の名称
正面にはファインダーからレンズまでをカバーするスライドドアがあり、これを開けないとシャッターが押せないロック機能もついています。
正面向かって右側側面には日付写し込みのためのダイアルがあります。年の表示が0~9あるいは74~84なので、もし今年使用するとすれば令和2年で2でしょうか、月は1~12、日は1~31、全て手動で合わせます。それぞれブランク(空白=何も写し込まない)もあります。今回は全てブランクの位置で撮影しています。
主な仕様
型式 | 110カートリッジフィルム使用 レンズシャッター式ポケットインスタマチックカメラ |
画角 | 13×17mm |
レンズ | キヤノンレンズ 26mm f/2 4群5枚 |
焦点調節 | 二重像合致式距離計内蔵、 距離目盛り 0.6、1、3、10m、∞ 、および ゾーンフォーカスマーク (近・中・遠距離用ピクトグラフ)付き |
シャッター | 電子式シャッター、 8秒~1/500秒 |
露出制御 | CdS素子使用の絞り優先式EE、 フィルム感度 ASA80=ISO 80 EV-1(f/2、8sec.)~EV17(f16、1/500sec.) 測光連動範囲=EV-1~17(F2・4・8・16の各絞り値に 該当するクリックストップ付きお天気マークあり) |
フイルム感度 | ASA 80 (ISO80) |
フィルム装填 | 裏蓋開閉によるフィルムカートリッジ装填、 前面部の保護カバーを全開して押し式の巻き上げノブを押し込み、 1がカウンター(裏窓式)に表示されるまで巻き上げ動作を繰り返す |
フィルム巻上げ | スライドノブによる1ストローク巻上げ |
フィルムカウンター | 裏窓で直視可能のフィルム裏紙ナンバー確認式 |
フィルム巻戻し | 無し、撮影終了後停止するまで巻きあげ動作を繰り返し カートリッジを取り出す |
ファインダー内表示 | ブライトフレーム付き逆ガリレオ式ファインダー、 倍率0.61倍、視野率84%(3m距離)、 近距離撮影用パララックス補正マーク、 高輝度連動範囲外警告(露出オーバー警告 赤色LED)、 低輝度連動範囲外警告兼手振れ警告(黄色LED)、 ゾーンフォーカス用近・中・遠距離のピクトグラフ バッテリーチェックランプ |
アクセサリーシュー | X接点直結ホットシュー式フラッシュシンクロ |
日付写し込み | ダイアルスイッチによる 年・月・日同時写し込みデート機構 |
日付設定 | 年0~9、74~84、月1~12、日1~31、 写し込みなし |
電源 | 6Vの4G-13型酸化銀電池1個 あるいは 6Vの4LR44 電池1個 |
大きさ・質量 | 142.2×56×29mm 295g(電池含む) |
使用する電池は4LR44が1本です。カートリッジの横にあり背面のカバーを開けないと入れ替えが出来ませんので、撮影途中には基本的には変えられません。(どうしてもの場合の方法はあると思いますが)
上部右側の操作パネル、絞りの変更は青いラインのスライドボタンで行います。一番左側が窓のマークで室内を表し絞り値は開放のf/2、フラッシュもこの位置で使用します。次が雲マークでf/4、太陽マークの位置はf/8、右端の黒丸がf/16です。これらは取り扱い説明書に記載があります。
その下の赤いラインの右側のスライドボタンがピント合わせ。ファインダーをのぞきながら二重になっている画像を合わせます。ただこのレバーの位置がシャッターボタンに隣接しているので、間違ってピントを合わせる前にシャッターを押しそうになることが度々ありました。
ところで、このカメラはフィルム感度が固定でしかもISO80です。変えられないものはしょうがない、かまわずISO200のフィルムをいれます。
そして今回撮影して現像したフィルムはこんな感じです。
現像はシュシュ・メイチカ店を経由してトーアフォートで現像しました。
これをケンコー・トキナーのフィルムスキャナーKFS-14WSを使用してデータ化。このスキャナーについては別のページで紹介をしています。
ここに掲載した写真はスキャン画像をPhotoShopを使用して調整とリサイズなどをしました。
スキャナーページに掲載したものはスキャナーデータそのままと PhotoShopの自動カラー補正後の画像でしたが、こちらは手動で補正しています。
PhotoShopの補正はCamera Raw フィルターを使って色、濃度、階調を一度に整えていますが、あえてシャープネスは変えていません。
画面サイズ13×17mmのカラーネガフィルムから得られた画像です。いかがでしょうか? もちろんデジカメやスマホ画像とは比べる事も出来ませんが、写ルンです など35mmのフィルムともまた違った味になっていると思います。もちろん使用したフィルムやスキャナの特性も加わった結果ですが、想像していたよりも良い結果が得られたと思っています。
またカメラの機能も完全とは言えないまでも凡そ動いているようです。いつまで使えるのか後どれほど使用する機会があるのかはわかりませんが、少なくとも残り2本のフィルムはこのカメラで使用することになりそうです。