10bit出力30bitカラーとは

PC & Software

普段使用しているPCのほぼ全ては8bit出力でディスプレイも24bitカラーの表示です。表示色数が約1677万色というのは目にした事がある方も多いと思いますが、ディスプレイへのカラー出力はRGBの3色で各色8bit 256階調で成り立っています。したがって8bit×3色が24bitカラー、各色256階調は256×256×256で16,6777,216色となります。これをトゥルーカラーあるいは今はフルカラーと呼ばれます。カラー出力10bitになると、10bit×3色で30bitカラー、10bitの場合表現できる階調は1024なので1024×1024×1024となり1,073,741,824色となります。これはディープカラーと呼ばれる場合があります。約10億7374万色と書かれています。これ以外に32bitカラーと呼ばれるものがありますが、これは32bitのうち8bitがダミーあるいはアルファチャンネル(色情報ではない)に使用されているもので、色としては24bitと変わりがありません。
30bitカラーを実現するにはこれに対応する機器とソフトウェアが必要です。

グラフィックボード

NVIDIA Quadro シリーズの製品全てと AMD FirePro シリーズ と Radeon Pro シリーズ にある一部の製品が一般的に手に入れられる10bit出力対応のグラフィックボードです。AMDの FirePro シリーズは今後 Radion Pro に置き換わっていくのではないかと推測します。FirePro の発売は2016年で止まっているのに対して Radion Pro は2016年から始まって2018年発売のものが最新の状態です。一般的とは書きましたが、どれも店頭にはあまり置いてありません。これらは全て限られた用途の仕事用=Pro向けの製品といえます。
NVIDIA Quadro シリーズ は全てが 10bit出力対応ですので、とりあえず10bit出力が試したいとかであれば一番安価なものを購入してみるのも手かもしれません。

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AMDは Radion Pro のページはありましたが、 FirePro をまとめて紹介するページが見当たりませんでした。なのでプロフェッショナルグラフィックの仕様をまとめてあるページを2番目にリンクしておきます。シリーズのところで FirePro シリーズを選択して確認できます。こちらはシリーズ全てが10bit出力対応ではありませんので注意は必要です。

https://www.amd.com/ja/graphics/workstations
https://www.amd.com/ja/products/specifications/professional-graphics

10bit出力 対応ディスプレイ

一番知られているのはEIZOのColorEdge シリーズだと思います。ただし現行品ではCS2410は10bit出力対応ではありませんでした。EIZOではその他にもメディカルモニターなどで10bit出力対応の製品が見られます。これら以外ではBenQのキャリブレーションモニターなどにも対応製品があります。他にもあると思いますが業務用で情報が少なく紹介できるものはいまのところありません。
ちなみに今私が使用しているのは ColorEdge CG2420 2台並べる関係でその上のサイズは大きすぎました。それと長年16:10のアスペクト比のディスプレイを使い続けていることも選択理由の一つです。

カラーマネージメントモニター ColorEdge | EIZO株式会社
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ColorEdge CG2420 で使用するにあたって特に設定などの必要はありませんでした。DisplayPortのケーブルで接続するのみです。

30bitカラー 対応ソフト

やはり一般的なものとしては、Adobe Photoshop(写真などの画像編集)、Adobe Premier pro(動画編集)などでしょう。他にも紹介しているホームページは見られますが、現行バージョンの仕様の中に10bit出力が見当たらなかったり、NVIDIA Quadro 対応をそのまま 10bit出力としているような記事も見られます。
私が10bit出力を使用するのは今のところ Adobe Photoshop のみです。


最新の PhotoshopCCでの設定は、メニューから編集(E) ▶ 環境設定(N) ▶ パフォーマンス(E)… と選択して、

パフォーマンスのダイアログBOXを開き、そこから “グラフィックプロセッサーを使用” の項目のしたの詳細設定を選択します。現れたPOPアップの “30bitディスプレイ” にチェックを入れてOKを押せば設定終了です。

で、どうだったのか? 見え方がすごく変わったとか綺麗になったとか言う感想はありません。もともとそれは求めてませんし、10bitカラーにする前提としてディスプレイの色域はAdobeRGBでそれをハードウェアキャリブレーションを定期的に行って条件を保ち、使用するソフトウェアと画像データのプロファイルを合わせて、とここまでで充分だったのですが更にその上を見たかったというのが本音です。また一方で大型の出力製作を扱っていた時期があり大きな面積や淡いグラデーションでのトーンジャンプに悩まされた事がありました。それらがどの程度軽減されるのかを知りたかったという理由もあります。
また今後は4K、8Kの動画、より大型のディスプレイ、色域の広いディスプレイなども普及してくるのでしょう、こういった技術がProの現場だけではなく別のカタチで一般化してくるのではないかとも考えていて試してみても損はないかなと思いました。まだまだ設定が終わったばかりなので大げさになるかもしれませんが、同じ写真を見たときに写真の深みや奥行き感が違うと感じたものが数カットありました。これがPhotoshopに早くからこの技術を搭載している理由なのでしょうか