カメラの中で8年忘れられていた NATURA1600で、今を撮影してみた

Camera & Photo

久々に防湿庫から取り出した NATURA S にフィルムが入っている。それもNATURA1600だった。壊れていたNATURA CLASSICA が思いがけず復活しましたが、そうでなければこのカメラで最後のNATURA1600を撮るはずでした。

※ 思いがけず復活した NATURA CLASSICA の顛末はコチラ

このNATURA S は近隣のカメラ店で中古の委託品として陳列されていたものを購入しました。当時は今のような高額ではなく数千円の価格で手に入れたはずです。
それでお決まりの NATURA1600を詰めて一宮市の散策に出かけたのが2011年6月、それからはや8年の歳月がたちました。そしてこのカメラ防湿庫から取り出してみると、たった2カット撮影しただけで放置となっていたことがわかりました。さすがに詰め替えて撮ろうと思っていたのですが、当初の目的は NATURA CLASSICA で達成出来ましたし、いっそ有効期限の切れたNATURA1600で撮るとどうなるのかを試してみることにしました。
そして撮影した結果が次のようになったのです。

最初のカット、つまりカメラの裏蓋付近にあった部分で撮影したものは中心から全体にかけて丸く光カブリのようなものがあります。2枚目の右側にはもっと強いライン状の光カブリと思われるスジがみられます。ライン状の光はやはり裏蓋と本体の隙間からかの光線漏れとも思われますが実際のところはわかりません。3枚目も他の写真と比較すると更に粒子が荒れているように見えます。ただそれ以降については、粒子こそ新しいフィルムを使用したときよりも粗いものの最初の3枚のような顕著な異常は認められないように思いました。でも実はフィルムの方を直接見てみると、新しいフィルムで撮影した時の画像に比べると濃度が非常に低く、薄っすらと画像があるだけのような印象で、ネガ上での色の調子も崩れていました。それがこのように写真として成り立つ画像として取り出せるのは現在のデジタルスキャナーだからこそとも言えます。

それはそれとして、これらの写真は通常使用のNATURA1600では出てこない画像ですし、粒子は荒れているのに一定の色乗りはしっかりとあって、別のフィルムを使用しているかのような感覚です。
そして今回の撮影結果には、もう一つポイントがあります。カメラがNATURA S だったということです。このカメラのレンズは24mm単焦点で、絞り開放がf1.9、SUPER-EBC FUJINON を名付けられた非常に優秀な部類に入るレンズだと思います。これも8年もの長い年月放置されたフィルムで興味深い結果を得られた理由かもしれません。
8年放置とか、詰めたのは2011年6月とか、けっこう正確にこのフィルムの年代が分かったのは最初の2カットが当時のものだったからです。ここに掲載できると良かったのですが、人が写っていて知人ではありましたが掲載の可否確認が出来ませんので残念です。
ところで最後の ひまわりとビル の写真の左上から中央に渡る光はフィルムの光線カブリではありません。若干逆光気味で撮影したので太陽の光が入り込んだのです。
さて今年NATURA1600のフィルムは全て有効期限を迎えて期限切れになると思いますが、冷凍保存や冷蔵保存をされている方もたくさんいらっしゃいます。今回撮影したフィルムは防湿庫には入っていたとは言うもののカメラの中に詰めたままの状態でした。それでもこんな興味深い結果となりましたので、まだまだ相当長い間 NATURA1600のフィルム を楽しむことが出来るのではないかと期待出来ます。皆さん大切に使いましょう。


ご注意 本来のNATURA1600フィルムの取り扱いについて
以下にフィルムデータシート(FUJIFILM PRODUCT INFORMATION BULLTIN)からの抜粋を記載します。フィルム本来の性能を引き出すためには下記の取り扱い方法に沿って撮影しましょう。

=== フィルムの取り扱いより 以下抜粋 ==========

  • (有効期限)フィルムの外箱にある有効期限内に撮影・現像処理を必ず完了してください。
  • (開封)冷凍保存されたフィルムは、室温に戻して(1時間以上待って)から開封してください。温度が低いうちに開封すると、結露してフィルムが使えなくなるおそれがあります。
  • (フィルムの装填・取り出し)フィルムのカメラへの装填・取り出しは直射日光を避けて、すばやく行ってください。周囲に日陰がない場合には、太陽に背を向け、自分の陰の内で行ってください。
  • (装填から撮影までの時間)フィルムをカメラに装填したらできるだけ短期間に撮影を完了し、速やかに現像処理してください。

※ 富士フイルム フィルムデータシートのページは
  https://fujifilm.jp/support/filmandcamera/download/datasheet.html
※ 今回使用したカメラ NATURA S については改めて取り上げたいと思っています。